「漠然とした興味」を掘り下げる:40代・50代がIT・クリエイティブ分野で「何を学びたいか」を見つけるヒント
40代・50代、「何か学びたい」という漠然とした気持ちから一歩踏み出すには
「将来のために何か新しいことを学びたい」「仕事以外で楽しめるスキルを身につけたい」――40代・50代になり、このように感じていらっしゃる方は少なくありません。特にITやクリエイティブ分野に漠然とした興味があるものの、「具体的に何を学べば良いのか」「自分にできるのか」と迷われることもあるかと存じます。
新しい学びを始める際には、まずご自身の「なぜ興味を持ったのか」という漠然とした気持ちの源泉を少し掘り下げてみることが、最適な一歩を見つけるためのヒントになります。この記事では、ご自身の興味の方向性を探る問いかけと、そこから考えられる具体的な学びの分野、そして無理なく始めるためのオンライン学習の方法についてご紹介します。
あなたの「漠然とした興味」の源泉を探る3つの問い
まずは、ご自身の中に芽生えたITやクリエイティブ分野への興味について、少し立ち止まって考えてみましょう。いくつかの問いを通して、興味の「源泉」を探っていきます。
問い1:なぜ、その分野に「何となく」惹かれるのでしょうか?
特定のWebサイトのデザインが好きですか? YouTubeで気になる動画ジャンルがありますか? 日頃、写真やイラスト、音楽などに触れる機会が多いですか? 特定のアプリやサービスの仕組みに興味がありますか?
例えば、「よく見るWebサイトがおしゃれで好き」という方は、Webデザインの視覚的な側面に惹かれているのかもしれません。「好きなYouTuberの動画編集が面白い」と感じるなら、動画の構成や表現方法に関心がある可能性があります。「普段使っているアプリはどうやって動いているんだろう?」と疑問に思うなら、プログラミングの論理や仕組みに関心があるのかもしれません。
このように、日常生活で「いいな」「面白いな」と感じることの中に、興味のヒントが隠されていることがあります。
問い2:学んだスキルを、将来どのように活かしてみたいですか?
これは「仕事に直結させたい」という意欲だけではありません。「趣味をより深く楽しみたい」「自分の周りの人の役に立ちたい」「将来の選択肢を広げたい」といった漠然とした目的でも構いません。
例えば、「自分の趣味の活動をWebサイトで紹介したい」という方にはWebデザインや情報発信のスキルが役立つかもしれません。「旅行の記録を動画にして家族や友人と共有したい」という方には動画編集が向いているかもしれません。「地域の活動でちょっとした作業を効率化したい」という方なら、プログラミングの基礎が役立つ場面があるかもしれません。
具体的な目的が明確でなくても、「こんなことができたら面白そう」という軽いイメージでも構いません。
問い3:どんな作業をするのが好き、あるいは得意ですか?
手を動かして何かを作り上げることが好きですか? パソコンに向かってコツコツと作業するのが好きですか? 論理的に物事を組み立てたり、問題を解決したりするのが得意ですか? 人とコミュニケーションを取りながら何かを進めるのが好きですか?
例えば、「デザインを考えるのは好きだが、細かいコードを書くのは苦手かも」と感じるなら、デザインツールを学ぶことから始めるのが良いかもしれません。「パズルを解くような感覚が好き」という方なら、プログラミングの論理的な思考が合うかもしれません。「一つのものを作り上げる過程が好き」という方には、Webサイトや動画など、完成物がある学習がモチベーションになる可能性があります。
ご自身のこれまでの経験や、日頃の仕事、趣味などで感じる「好き」「得意」「苦手」といった感覚も、学ぶ分野を選ぶ上で重要な手がかりになります。
興味の源泉から見えてくるIT・クリエイティブ分野の学び
上記の問いを通して、ご自身の興味の方向性が少し見えてきたかもしれません。ここでは、いくつかの主要なIT・クリエイティブ分野で「どのようなことが学べるか」「どんな人に向いているか」の一般的な傾向をご紹介します。
- Webデザイン基礎:
- 学べること: ウェブサイトの見た目(レイアウト、配色、フォントなど)のデザイン原則、簡単なHTMLやCSSを使った基礎的なコーディング、デザインツールの使い方。
- 向いている可能性: 視覚的な表現に関心がある方、レイアウトや構成を考えるのが好きな方、ゼロから何かを作り上げるのが好きな方。
- プログラミング基礎:
- 学べること: プログラミングの基本的な考え方(論理的な思考、問題解決)、特定のプログラミング言語(Python, JavaScriptなど)の初歩、簡単なツールの作成や自動化のイメージ。
- 向いている可能性: 物事の仕組みを理解したい方、論理的に考えるのが好きな方、地道な作業を効率化したい方。
- 動画編集:
- 学べること: 動画編集ソフトの基本的な操作方法、カット・テロップ挿入・BGM追加などの技術、ストーリー構成や演出の基礎。
- 向いている可能性: 動画コンテンツをよく見る方、自分の経験や趣味を表現したい方、映像と音を使って伝えることに興味がある方。
- その他(デジタルマーケティング基礎、データ分析基礎など):
- 学べること: ウェブサイトへの集客方法、SNS活用の基本、アクセスデータの見方、簡単なデータ分析の考え方。
- 向いている可能性: ウェブ上の情報の流れや、人がどのように情報に触れるかに関心がある方、数字から傾向を読むのが好きな方。
これらはあくまで一般的な傾向であり、実際には各分野が重なり合っていたり、もっと多様な学びがあったりします。大切なのは、この時点で「これだ!」と一つに絞り込む必要はないということです。いくつかの分野に興味を持つことは自然なことです。
興味のある分野を「無理なく、お手頃に」試すオンライン学習
興味の方向性が見えてきたら、次はその分野の学習を「お試し」してみる段階です。40代・50代の方にとって、仕事やプライベートとの両立を考えると、オンライン学習は非常に有効な選択肢となります。
オンライン学習には、様々な形式があります。
- 動画見放題プラットフォーム: (例: Udemy, Schooなど)
- 数多くの講座が用意されており、自分のペースで好きな時間に学べます。一度購入すれば何度でも視聴できるものが多く、費用も比較的お手頃な講座が見つかりやすいです。様々な分野の入門講座を「つまみ食い」感覚で試すのに適しています。
- オンラインスクール:
- 体系的なカリキュラムが組まれており、専任の講師やメンターのサポートを受けられる場合が多いです。費用は比較的高めですが、学習計画が立てやすく、挫折しにくい環境が整っていることがあります。短期間の入門コースや無料のカウンセリング・体験授業を提供しているスクールもあります。
- 無料の学習サイトやサービス:
- プログラミング学習サイトやデザインツールの公式チュートリアルなど、無料で学べるコンテンツも豊富に存在します。手軽に触れてみる最初のステップとして活用できます。
ペルソナの田中様のように、仕事の拘束時間が比較的長い方や、学習にお金をかけることに抵抗感がある方にとって、オンライン学習は「無理なく」始めやすい形式と言えます。特に、動画見放題プラットフォームや無料体験・短期講座などを活用すれば、費用を抑えつつ、ご自身の興味が本物か、その分野の学習スタイルが自分に合うかなどを確認できます。
また、一部のリスキリング講座は、国が定めた教育訓練給付金の対象となっている場合があります。条件を満たせば、受講料の一部が給付される制度ですので、費用負担を軽減できる可能性も考慮に入れておくと良いでしょう。
焦らず、楽しみながら、自分に合った一歩を
40代・50代からの学び直しは、必ずしもすぐにキャリアチェンジを目指すものだけではありません。将来の選択肢を広げるため、趣味や自己啓発として、あるいは単に新しい世界を知る「知的好奇心」を満たすためでも十分に価値があります。
「何を学びたいか」がまだ漠然としていても、それは自然なことです。まずは、ご自身の日常生活の中にある興味のヒントを探り、それがどのような分野の学びに繋がりそうかを知ることから始めてみてください。そして、オンライン学習の多様な形式やお試ししやすい講座を活用して、無理なく、楽しみながら、ご自身に合った最初の一歩を踏み出していただければ幸いです。
学びを通して、きっと新しい発見や、将来をより豊かにする楽しみが見つかるはずです。